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EXECUTIVE INTERVIEW

“職人”を“社員”に変えていく。
会社の風土をつくるには10年はかかる。

株式会社宗重商店
代表取締役

宗守重泰 氏

社員のみなさん、明るくて気持ちがいい。社長に就任して15年ほどで会社が見違えましたね。

「当時がひどすぎたというのもありますけどね(笑)。まずは『あいさつをしようよ』という初歩中の初歩からはじめたわけですから。解体業は職人としての腕がすべてのように考えるところがあります。うちも『教養があったらこんな仕事してないよ』という人が多かった。もちろん職人気質は大事です。でも、お客様が求めているものは“技術”ではなく“人間”です。解体の現場は、たとえば騒音などで近隣の方々に迷惑をかけがちですから、お客様や地域の方々とのコミュニケーションがとても重要なんです。次のご依頼や周囲の評判も、技術力ではなく人間力によるところが大きい。にもかかわらず、技術先行になりがちなのが解体業です。それでは今後は立ちゆけない。宗重商店は考え方を変えていこう、と。解体業をサービス業化しなくちゃいけないという想いですね」

どんな手順で意識を変えていったんですか?

「ああしなさい、こうしなさい、と行動を指示すると反発されます。だからトップダウンは失敗しました。私自身が社長としていろんなことを見聞きして、新しい発見や気づきを得るわけですけど、いわば社長一人で盛り上がっている状態なんですね。自分だけが刺激を受けて、同じテンションを社員にも求めてしまう。まぁ“経営者あるある”なんですけど(笑)、これではうまくいかないんです。社員と同じ目線になって、焦らずじっくりやるしかない。あたりまえのことをあたりまえにやれるようになるまで、正しい考え方をじわじわと浸透させていくことが必要でした」

考え方は重要ですね。

「稲盛和夫さんのいう『人生・仕事の結果=考え方×能力×熱意』ですね。多くの会社は“能力”にばかりフォーカスしますけど、何よりも“考え方”が正しくないといけないと思います。一方で、面白いのは“熱意”の部分です。うちの会社でいうと、みんなじつは成長したいという気持ちを潜在的にもっていたんです。『読み書きできないから職人になったんや』とうそぶく社員でも、本当は学びたいという意志を心に秘めていた。研修なども積極的にやったんですが、そのなかで一人ひとりの中に潜んでいた熱意が顕在化していったんです。人って変わるんだ、すごい!と思いましたね。社員自身も、ある意味、驚いてるんじゃないでしょうか。『40歳や50歳になっても成長できるんだ』って」

そうやって社員の方々の人間力が養われていったわけですね。

「人間力とは、人間性を発揮する能力のことをいう。これはサクセスブレインさんから教えてもらったことです。言いかえると、つまり人間力というのは感動や喜びを表現できる力ですよね。うちの社員はそれができるようになって成長できた。(宗重商店のフィロソフィブックを手にして)、たとえばここに書いてある事業部のスローガンは、50歳代の現場職人が考えたんですよ。すごい成長だと思います」

人に変化が起こって業績は変わりましたか?

「私が社長に就任して以来、売上は約5倍になりました。利益も右肩上がりです。社長は社員に協力を求める立場にいますが、求めるかわりに社長には業績という結果責任がある。それを果たせているから、社員がこの考え方を信じて協力してくれる。業績がともなっていなかったら、社員はそっぽを向いたまま変わらなかったかもしれません」

理想の会社に近づいてきた?

「社員が明日も行きたくなる会社をつくりたい、と思ってやってきました。まだ道半ばですけど、最近は外部の方から『雰囲気がいいね』『元気があっていいね』といった声をいただけるようになりました。ただ、そういう風土は自然発生的にできたものじゃない。いろんな社内行事を催したり、研修をしたり、制度を整えたり、社員たちとフィロソフィをいっしょにつくったり…。時間をかけてそれ相応のことをやらないと出来っこないんです。会社の風土をつくるには10年かかります。人を一人前に育てるのは5年でしょうか。とりわけ“職人”を“社員”に変えるのはたいへんですよ。それでも社員は家族だと思っていますから、長い年月が必要だとしても根気強く付き合っていきたい。社員とは見返りを求めない家族のような関係でいたいし、夢や目標や危機意識を共有できるようになりたい。この約15年間ずっと『私たちはチームである。“和”が大事なんだ』と言いつづけてきました。私は『大家族経営』がしたいんですよ。時代と逆行しているかもしれませんが、私たちはこれで行きます」

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